出撃
現在地から目的地まで、地図を見ると気が遠くなる距離だ。
地図は山々の形状を表わす等高線だらけだ。
到達するには一歩一歩足を前に出し続けるしかない。それしかない。
左足の次は右足。右足の次は左足を出せばいい。意地でもそれをやればいい。
物事を成し遂げるにはすべてこの道理だ。今やるべき事は足を前へと運ぶことなんだ。
そしてどんどん進むためには常に現在地を把握することが大切だ。
進めば景色や地形が変わる。時間が経てば状況が変わる。
人間は知らないあいだにとんでもない思い違いをしていることがよくある。
どうやってそれに気づくか。
放っておいても失敗をして間違いに気づく。
地図を信用して進み、すぐに地図が正しかったことに気づく。
日常生活どんな時でもそうだ。地図とは普遍的な原理原則や法則、神様の教えのようなものだ。
山の奥深い複雑な地形でも、何も見えない真っ暗な夜でも、進めば進むほど深く認識することになる。
『地図は正しい』
しばらく歩き続けると気分が高揚してくる。時々そうなるがいわゆるアドレナリンの分泌によるハイな状態だ。からだの防衛本能ともいえる。
そうなると楽だ。だが苦痛という限界のサインを一時消しているだけだ。
このモルヒネが切れた後、一気に疲労が襲ってくる。
今は山の空気、落ち葉を踏む感触が心地いい。再び山に入ったことでからだが喜んでいるように感じる。足の痛みもない。
どこまででも行ける気がする。
できるだけ長くこの状態が続けばいいと思った。
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