早朝の雲から天気を読む
朝起きたら曇っているとき
朝曇っている場合は、空にどんな雲が出現しているかをまず確認しよう。 その雲の種類と現れ方から、その日の天気の予想ができる。
層雲(朝霧)の場合は?
晴れた朝、放射冷却によって気温が下がると放射霧が発生し、前日に 雨が降るなどして空気が湿っていると濃霧になりやすい。このタイプの 霧は、気温が上がるにしたがって消滅していくのでその日は晴れる。 放射冷却の霧を「晴れ霧」と呼ぶこともある。
川面にたつ朝霧(蒸発霧)や、太陽が見える明るい朝霧(放射霧)は 放射冷却現象によるものなので晴れになる。
一方、冷たい空気と暖かい空気がぶつかることによって発生する霧は、 天気の変わり目を知らせている。霧の上空に雲が広がっていたり、霧が 上昇して雲に変化したり、午前10時を過ぎても地上の霧が晴れないなど の場合は、午後から雨になる可能性が高い。
雨を予告する朝霧のことわざでは「朝霧があって曇天だと雨」「朝霧が地面 を離れて上昇し雲になると雨」「朝霧が深いのは雨」「朝霧が晴れないのは 雨の兆し」といわれている。
層積雲の場合は?
空を覆っている層積雲の雲の切れ間から、層積雲の雲頂の形状を確認 しよう。まず雲頂がムクムクと盛り上がった形の層積雲の場合、朝日が 当たると雲頂が光る。これは雨になる雲である。
層積雲の上部が平らな形状の場合、朝日が昇るとき雲の下は日が当たって 輝くが、雲の上部は灰色をしている。この層積雲の場合は雨にならない。
雲が厚く空を覆い、形状がわからないときは、外へ出て耳をすますと、 遠方の電車の音や高速道路を走る車の音が、ふだんよりも大きく聞こえる ことがある。このようなときは雨の前兆と考えてよい。天気のことわざの 「寺の鐘の音が近いと雨」はこの現象をいい表している。雲が海側から 移動しているときや、生暖かい風とともに南から移動してくる場合は、 雨の確立はさらに高まり、5~6時間後には雨になる。
一方、層積雲にはもうひとつ、単なる朝曇りでやがて晴れる状態のものが ある。晴れる場合の層積雲は、雲の厚みが時間とともに減り、雲のすき間 が広がってくることが多い。
高層雲の場合は?
昇ってくる太陽が、すりガラスを通して見るようにぼやけて見えるのは、 高層雲に覆われているときだ。時間とともに太陽が見えなくなって、雲の 色も灰色が強くなると、雲の層が厚くなっている。こうなると8~10時間 後には雨が降ると考えよう。
さらに、太陽がぼんやりと見えている半透明な高層雲の下に、黒いちぎれ 雲が現れる場合は、3~4時間後に雨。太陽が見えない不透明な高積雲の 下に、黒いちぎれ雲が現れる場合は、ちぎれ雲の下がすでに雨の場合も あり、雨はいつ降りだしてもおかしくない状態だと考えたい。
高積雲の場合は?
雲が空全体を覆っている場合と、空の一部に現れている場合とがある。 その後の天候変化を予測するには高積雲の形状を確認する。
薄い板状の形をした高積雲が空に広がっている場合、朝日が当たると朝焼 け色のタイルを空に敷き詰めたようにも見える。このような層の薄い高積 雲の場合は、雨になる可能性はあるものの、降るまでに10時間以上の 時間がある。
一方、雲のかたまりのひとつひとつに厚みがあり、積雲のようにコロコロ とした形をした高積雲-塔状雲は5時間後には雨になる可能性が大きい。 春から夏にかけて出現することが多くなる雲だ。このような雲は午前中、 それも午前9時ごろまでに現れることが多い。春は春雷、夏は夕立の前触 れとして現れる。
これら高積雲の雲低は、平らになっているのが特徴だ。このほか、雲低が 垂れ下がっていて、塔状雲を逆さまにしたような高積雲がある。このよう な雲低をもった雲を乳房雲という。この雲の下では、すでに雨が降りはじ めている。
巻層雲や巻積雲の場合は?
太陽が透けて見える層状の雲が広がっている場合は、高層雲のほかにも 巻層雲が原因となっていることがある。高層雲と決定的に違うのは、 巻層雲の場合は、太陽の周囲に光の輪ができるということだ。この光の輪を 「暈(かさ)」という。
太陽に暈が出ているときは、雨域までの距離が600km程度離れてはいる が、やがて雨になるサインだと考えたほうがよい。もしもそのままのペース で天気が悪化し、雲が厚くなることによって暈が消えると、その時点から 約20時間後には雨になる可能性が大きい。
朝の巻層雲による曇りは、夜半の雨を知らせていることになるので、テント を張るなどして野外で一夜を過ごそうとしている場合には、寝ているとき の雨対策をしておいたほうがよい。
昼間の天気としては、「曇り」で雨はまだ遠く、昼間の活動には支障をきた さないということだ。巻積雲が出ている場合は、やがて巻層雲に変化して いくことが多いので変化してからの時間で判断する。