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元レンジャー隊員のブログ

梅雨明け10日

梅雨が明けると、太平洋高気圧が日本全体をおおって、しばらくはいちばん 天気の良い暑い日が続く。本格的な夏の到来である。

日本をおおった太平洋高気圧は、おおむね10日くらいのリズムで西に 張り出したり東にひっこんだりして盛衰を繰り返す。7月末から8月上旬 のころに太平洋高気圧がいったん弱まったときに、北から寒冷前線が南下 すると、山陰、北陸から北海道にかけて局地的な大雨を降らせることが ある。寒冷前線が強ければ太平洋側まで南下し、戻り梅雨になる。

いずれにしても夏の暑さは太平洋高気圧のがんばりしだい、といわれて いる。

集中豪雨

短時間に多量の雨が、狭い地域に降る現象を「集中豪雨」という。多量の 雨が降ることは通常「大雨」と表現するが、「豪雨」は多量の雨で大きな 災害が発生した場合に用いられている。豪雨は災害をもたらした雨を、 あるまとまった地域でとらえ、また降り始めからの一連の降雨としてとら えるときに使われる言葉である。

集中豪雨は、

  1. 水蒸気を多量に含む空気が次々とその場所に流れ込む条件があること
  2. その地域に強い上昇気流があり、それが長時間持続状態にあること
  3. 上昇気流の発生場所が移動しないため雨域も移動しないこと

などの条件が重なっている場所に発生する確率が高い。水蒸気を含んだ 空気が山地を越えるとき、空気は地形によって強制的に上昇させられる。 上昇することにより空気の温度が下がり、雲が発生する。このとき空気中に 含まれる水蒸気の量が多いと雨雲になり、雨量も多くなる。台風がもたらす 暑い湿った南風による大雨は、このようにして発生した地形性の大雨で あることが多い。

また、梅雨明け前に発生する雷を伴った集中豪雨は、日本の南西から 吹いてくる湿った風により引き起こされている。各地で豪雨をもたらし ながら、長い梅雨が終わって次に真夏がやってくる。

梅雨の時期

春の雨期「菜種梅雨(なたねづゆ)」

3月中旬から4月にかけて、移動性高気圧が北に片寄って通過する「北 高型」になる場合は、本州南岸に前線が停滞し、関東以西は雨となる。 菜の花が咲く時期にあたるため「菜種梅雨」という。気温が上昇するこの 時期に寒の戻りがやってくる。山では冬に逆戻りしたような天気になる ことがある。

寒の戻り3つの型
  1. オホーツク海気団の風が吹いて冷えるとき
  2. 移動性高気圧の晴天で冷え込むとき
  3. 大陸から寒波がやってきたとき

どの場合もすべて、気温が突然下がる場合で「寒の戻り」とか「早春 寒波」と呼ばれている。4月初めの場合は、平地では桜の花が咲いて いるころのため「花冷え」ともいう。

夏の雨期「梅雨(つゆ)」

春から夏に移り変わる時期に現れる雨期のこと。梅雨は「ばいう」とも 読む。オホーツク海の高気圧と太平洋の高気圧との境目に現れる前線帯が、 日本に恵みの雨をもたらしている。

梅雨には次の4期がある。

第1期

5月中旬から下旬は、南西諸島に梅雨前線が現れて 沖縄地方が梅雨期に入る。一時的にぐずついた天気になることから「は しり梅雨」と呼ばれている。

第2期

6月上旬から中旬になると、梅雨前線が本州南岸 沿いに停滞するようになり、東日本から西日本までの広い範囲が梅雨入り する。その後6月中旬から下旬にかけて「さつき晴れ」が現れる。昔から 伝えられているさつき晴れは、旧暦5月の梅雨空に一時的に晴天が続く ことから、この時期の晴れ間のことを「五月晴れ(さつきばれ)」と呼ば れるようになった。気象用語では「梅雨の中休み」ともいう。

第3期

6月下旬から7月上旬ごろになると、梅雨前線が 本州上に停滞し、梅雨の最盛期を迎える。太平洋高気圧の勢力がだんだん と増し、気温が上昇し、蒸し暑さが加わる。局地的に大雨が降る時期でも ある。

第4期

7月中旬から下旬になると、太平洋高気圧の勢力が さらに強まり、梅雨前線が北日本方面に北上して関東以西が梅雨明けする。 この時期、前線がかかる北日本では大雨が降りやすい。

以上が梅雨の4期だが、その年によっては雨の降り方がかなり違う。 また、梅雨期の後半では台風の影響によって集中豪雨が現れることが多い。

メイストーム

5月は、長いあいだ日本列島に居座る低気圧や高気圧がないかわりに、 しばしば日本海や北日本の近海で台風並に発達した低気圧がやってくる。 また、高気圧におおわれて強い日差しがさしたかと思うと上空に大陸から の寒気がやってきて、強い上昇気流を起こして雹(ひょう)を降らせたり する。

5月に日本海や北日本方面で強く発達する温帯低気圧による荒天を、 「メイストーム(5月の嵐)」という。本来はヨーロッパで使われていた 言葉だが、同じ時期に日本でも強い低気圧による大荒れの天気があること から使われている。

この時期の低気圧は、発達すると同時に速度を増す場合も多く、移動速度 は通常の低気圧の2倍にも達する。低気圧から伸びる寒冷前線の移動速度 が速く、天気が急変するため、海や山での避難の遅れは遭難に結びつく。 空を見て気がつくことは、雲の移動速度が速いことと、雲の変化が速い ことの2点だ。

統計によれば、春山の遭難の原因の第一位はみぞれや吹雪、2位は転落、 3位は寒さと疲労となっている。いずれも天気の急変が原因となっている。

春一番

立春(2月4日ごろ)を過ぎると。季節は本格的に春に移る。今まで北東 から吹く季節風が主力だったものが、このころになると南よりの風が吹く ようになる。この風は西高東低の冬型の気圧配置が崩れ、日本海側に低 気圧が発生するために起こる。春の始めに決まって吹くこの風のことを 「春一番」という。

春の到来を告げる南風だが、強風のために思わぬ災害を引き起こすこと がある。アウトドアにおいては恐怖の強風であり、海や山は大荒れとなる のでこの時期の野外活動は、事前に春一番襲来の可能性の有無を調べて おく必要がある。

低気圧に近い北日本では、暴風を伴った大雪となり、低気圧の南側に位置 する本州南部、四国、九州では強い南風が吹く。春先にはこのような低気 圧が次々と日本付近を通りぬけ、寒さをぶり返しながらやがて春の本番が やってくる。

雪・雷・虹など

霰(あられ)と雹(ひょう)と雪

雪の結晶

高い雲の中には凍った水蒸気(氷晶)が含まれているが、これが落下して いくうちに水蒸気がついて大きな結晶になり、そのまま溶けないで地上 まで落ちてくるのが雪。

雪の結晶が落ちる途中で、0度以下でも凍らない雲粒から水蒸気がたく さんつき、結晶が分厚い衣をまとったように白い塊りとなって落ちてくる と霰。

雲の中に強い上昇気流がある場合は、霰は再び上空へ舞い上がる。そして 何度も空を上下しているうちに雲粒がたっぷりつき、部分的に溶けたり 凍ったりしているうちに大きな氷の塊りとなる。これが雹である。

霜柱

しもばしら

地面の中の水分だけが上がってきて、地表に出て次々に凍っていくと霜柱 ができる。霜柱が発生するのは、地面の中の温度は0度以上で、地表では 0度以下の場合で、水分が地表に上がるのは、土の粒子の隙間にできる 毛細管現象によるものである。砂地や粘土質の土壌ではできにくく、赤土 にできやすい。地面近くの水が凍り、地中の水が吸い上げられて霜柱は 伸びていく。

かみなり

空気が激しく上昇し、空気中の水蒸気が雲となって積乱雲ができる。 このような雲の中では雨や雪の粒が落ちたり、空気が吹き上げられたり して、しだいに電場が作られるようになる。こうして雲の中の電気が 集まって、同時に地表でも電気が呼び出されてくると、ついに空気の 絶縁力を超えて放電する。これが雷である。

強い上昇気流が電気を発生させるため、火山の噴火でも、噴煙の強い 上昇とともに雷が発生することもある。

にじ

強い雨があがったあとに急に晴れ間がのぞいたりすると、空気中に浮か んでいる細かい雨の粒に太陽光線があたる。そして雨粒が太陽光線を 屈折させ、太陽光線に含まれている7色の反射光を出す。これが虹で、 雨粒によって光が変則的に曲げられるために、色鮮やかに映し出される。 虹の色は、外側から赤、橙(だいだい)、黄、緑、青、藍、紫となる。

低気圧と高気圧とは

低気圧

地球の表面が熱せられると、地表付近の空気が暖められ軽くなって上昇 し、冷やされて雲を作る。海上の場合は海面の温度が高いと上昇気流が 盛んになる。上昇気流が盛んだと、空気は次から次へと上空に上がって いく。上昇気流が盛んな地域では、地表付近の空気が周りの地域に比べ て薄くなってしまう。

このようにしてできた周りの地域よりも空気の 薄い部分が低気圧である。ここでは空気の不足を解消しようと周りの 地域から空気が流れ込んでくる。これが低気圧へ吹き込む風である。

高気圧

雲を作り、雨を降らせながら上空に上がった空気は乾燥している。 上空では気温が低いため空気は冷やされて重くなり、やがて下降気流 となって再び地表に戻ることになる。上空から次々と空気が降りてくる 地域では周りの地域よりも空気が濃くなる。この部分が高気圧である。

冷たく乾いた空気が下降気流となって地表に下りてくるとき、空気は 圧縮されて気温が上がる。乾いた空気で温度も上昇するため雲はでき ない。周りの地域に比べて高気圧の中心へいくほど気温が高くなるのは このためである。空気が濃くなった地域からは、濃くなった空気が周り へ流れ出していく。これが高気圧から吹き出す風である。

低気圧と高気圧の空気の流れ

周囲よりも気圧の低い所である低気圧の中心に向かって、風が渦巻き状 に吹き込むが、宇宙から見て、北半球では時計とは反対回りに、南半球 では時計回りに渦を巻く。低気圧の中心の方向を知るには、北半球では 風を背に受けて立ったとき、左手やや前方に低気圧の中心があり、 南半球では右手やや前方ということになる。これは「ボイス・バロット の法則」と呼ばれ、海上や山岳で嵐に遭遇した際に、役立つ知識として 知られている。

熱帯で発生する低気圧や台風には、熱帯洋上の暖かく湿った空気だけが 吹き込んでくるため前線は発生しない。日本周辺でできる温帯低気圧 には、海上からの暖かい空気や大陸からの冷たい空気など性質の異なる 空気が吹き込んでくるので前線を伴う。

温帯低気圧は、停滞前線の付近で発生する。そして前線の活動が活発に なると、渦巻きができて、低気圧としてまとまる。太平洋高気圧は、 上空に集まった空気が地表に下りてきてできる。また、冬の大陸の高 気圧は、地表が冷やされて重い空気がたまるためにできる。高気圧から は空気が時計回りに(南半球では反時計回りに)吹き出してくる。

低気圧では吹き込んでくる空気は上昇して温度が下がるため、水蒸気 が凝結して水滴となって、雲となり雨を降らせる。反対に高気圧では 吹き出す空気を補うように、中心付近では空気は下降して温度を上げ、 雲ができないので晴れる。

天候悪化の原因

雲を作る上昇気流はなぜ起こるのか

雲を作り天気を悪化させる上昇気流の発生原因はいくつかある。
日射によって熱せられた地面や海水によって空気が暖められると、空気 は軽くなって上昇する。真夏の積乱雲はこのようにしてできた雲である。

空の高い所に冷たい空気が入り込んでくると、大気は下が軽く上が重い という不安定な状態になり、上下の空気層が入れ替わって上昇気流が起 き、積乱雲などができる。 暖かいほうから冷たいほうに進む温暖前線が やってくると、暖かい空気が冷たい空気の上に乗り上げて空気が上昇 する。また、冷たいほうから暖かいほうに進む寒冷前線がやってくると、 冷たい空気が暖かい空気の下にもぐり込んで上昇気流が起きて、さまざ まな雲が発生する。

低気圧や台風の中では、周囲の空気はその中心に向かって吹き込むが、 そこで行き場を失った空気は上昇し、広く雲が発生する。反対に高気圧 の中心付近では空気が下降して雲が消える。

このほか、空気が山を吹き昇るとき、上昇気流が発生し、山を吹き下りる ときは、下降気流が発生する。これをフェーン現象という。

「前線」が接近するとどうなる

前線は異なった気団の境目で、低気圧を伴っている。天気予報では 「前線の通過に伴って天気が一時悪くなります」などというが、気温や 湿度の違う気団がぶつかり合うと上昇気流が起きて雲が発生し、雷が なったり雨が降ったりする。

日本上空にはさまざまな気団が集まってくるため、前線の活動が活発で、 世界的にも雨の多い地域となっている。日本の天気に影響を与える主な 気団に、シベリア気団、小笠原気団、オホーツク気団の3つがある。

前線には、暖気側から寒気側へ進む「温暖前線」、寒気側から暖気側へ 進む「寒冷前線」とがあるが、寒冷前線は温暖前線より速度が早いので、 低気圧の発達とともに追いついて重なると「閉塞前線」となる。また、 暖気団と寒気団の勢力が均衡していると、前線は停滞する。このような 前線を「停滞前線」と呼び、梅雨時や秋には長雨を降らせる。

温暖前線の接近
  1. 穏やかな晴天に、巻雲が現れる。
  2. 巻層雲となり、明るい曇り空となる。
  3. 高層雲が広がり、全天を雲がおおう本格的な曇りとなる。
  4. 分厚い乱層雲となって暗くなり、やがて雨が降ってくる。

温暖前線がやってくると、しだいに巻雲、巻層雲が発生し、やがて 高層雲から乱層雲へと移り変わって雨となる。風はあまり強くなく、 雨はしとしとと長く降り続くことが多い。

寒冷前線の接近
  1. 冷たい寒気団の先頭は、くさび形に暖かい空気の下に鋭くもぐり込む。
  2. 暖かい空気が強制的に上昇させられ、積乱雲が発生する。
  3. 局地的な雷雨やにわか雨が降る。

寒冷前線が近づくと、積乱雲が発生し、雷を伴った強い雨を降らせる。
ときにひょうが降ったり竜巻が起こることもある。前線が通過すると 気温が急激に下がることが多い。

雲の基本形10種類

雲の種類を大きく分類すると、10種類の基本形となる。

高層に現れる雲

巻雲(けんうん)

和名:すじぐも
俗名例:羽雲、馬尾雲(ばびうん)、真錦雲、つりばり雲、房雲

巻雲

「繊維状をした繊細な、はなればなれの雲で、一般に白色で羽毛状、 かぎ形、直線状の形となることが多い。あるいは白かほとんど白の かたまりまたは細い帯の形をした雲で、毛状をしているかまたは 絹のような光沢をもっている」(気象業務法施工令の定義)

青空に白くハケでさっとなでたように見える形の雲。
雲は氷晶の 集まりで、太陽の方向にある濃い雲は、やや灰色がかって見えたり、 太陽の輪郭をぼかすこともある。

巻積雲(けんせきうん)

和名:まだらぐも
俗名例:さば雲、うろこ雲、うね雲、レース雲

巻積雲

「小さい白色の片(部分的には繊維構造が見えることもある)が 群をなし、うろこ状またはさざ波状の形をなした雲で、陰影はなく 一般に白色に見える場合が多い。大部分の雲片の見かけの幅は一度 未満である」(気象業務法施工令の定義)

見かけの幅が一度未満というのは、一つひとつの雲の塊りが小さいということ。空に白い小石を敷き詰めたような、あるいは池や湖のさざ波のような雲。うろこ雲、いわし雲などとも呼ばれる。
氷の結晶でできていて、単独に発生する場合もあるが、巻雲や巻層運から変化したり、巻雲や 巻層雲と同時に現れることが多い。

巻層雲(けんそううん)

和名:うすぐも
俗名例:幕雲

巻層雲

「薄い白っぽいベールのような層状の雲で陰影はなく、全天をおおう ことが多く、普通日のかさ、月のかさを生ずる」(気象業務法施工令 の定義)

高い空に一面、白っぽいグレーの布をおおったように見える。
巻層雲は氷の結晶の集まりでできているため、雲が太陽や月にかかる と暈(かさ)が現れる。巻層雲は空の一部に出現していても、やがて 全天に広がることが多い。そうなると天候悪化の兆しである。

中層に現れる雲

高積雲(こうせきうん)

和名:むらくも
俗名例:ひつじ雲、だんだら雲、石垣雲、うね雲

高積雲

「小さなかたまりが群をなし、まだら状または数本の並んだ帯状の雲で、 一般に白色または灰色で普通影がある。雲片は部分的に毛状をしている こともある。規則的に並んだ雲片の見かけの幅は一度から五度までの 間にあるのが普通である」(気象業務法施工令の定義)

羊の群のように見える雲で、色は純白から暗い灰色までさまざま。波のような形になったり、レンズのような形でポッカリ浮かんでいることもある。
高積雲は、普通は水粒でできているが、非常に低温の場合は、雲の一部が氷の結晶となることもある。

高層雲(こうそううん)

和名:おぼろぐも
俗名例:幕雲

高層雲

「灰色の層状の雲で、全天をおおうことが多く、厚い巻層雲に似ている が日のかさ、月のかさを生じない。この雲のうすい部分ではちょうど すりガラスを通して見るようにぼんやりと太陽の存在がわかる」(気象 業務法施工令の定義)

多くは灰色で明るいものから暗いものまである。
高層雲は水粒と氷の結晶が集まってできている雲で、雲の中には雨粒や雪片が含まれて いることもある。
高層雲が出ると雨が近いとみてよい。

乱層雲(らんそううん)

和名:あまぐも
俗名例:くろ雲、流れ雲、乱れ雲

乱層雲

「ほとんど一様でむらの少ない暗灰色の層状の雲で、全天をおおい雨 または雪を降らせることが多い。この雲のいずれの部分も太陽をかくし てしまうほど厚い。低いちぎれ雲がこの雲の下に発生することが多い」 (気象業務法施工令の定義)

雨を降らせる雲で、輪郭がはっきりしない、いわゆる雨雲が乱層雲で ある。厚みをもった雲なので、太陽光線を通さず黒や灰色になる。 水粒、雨粒、氷の結晶や雪片などが混合したものでできている。

低層に現れる雲

層積雲(そうせきうん)

和名:くもりぐも
俗名例:土手雲、冬曇り雲、寝雲、うね雲

層積雲

「大きなかたまりが群をなし層または、まだら状、うね状となっている雲で 白色または灰色に見えることが多い。この雲には毛状の外観はない。 規則的に並んだ雲片の大部分は見かけ上五度以上の幅をもっている」 (気象業務法施工令の定義)

いわゆる曇り雲。堤防のような雲がいくえにも規則的に重なって、 空の一部または全天に広がって現れる。
普通、層積雲は水粒の集まりで太陽がまったく見えないほど層が厚いことも、太陽の位置がわかるくら い層が薄いこともある。
雲のあいだから太陽または青空が見えるときは、一般的には天気が穏やかであるとみてよい。

層雲(そううん)

和名:きりぐも
俗名例:かすみ雲

層雲

「灰色の一様な層の雲で霧に似ている。不規則にちぎれている場合も ある。霧雨、細氷、霧雪(むせつ)が降ることがある。この雲を通して 太陽が見えるときはその輪郭がはっきりわかる。非常に低温の場合を 除いては、かさはできない」(気象業務法施工令の定義)

地表に近い低い所に現れる雲で、ときには高層ビルにかかることもある。 これが地上まで降りてくると霧になる。
山の谷にかかる霧も層雲で、登山やハイキングなどで経験する場合は、これをガスという。
極寒地では層雲が凍り、氷の結晶になって降ってくるが、これをダイヤモンドダストという。

層雲は普通は水粒でできていて、雨粒が非常に小さく、霧のような雨が降るときの雲は層雲、雨粒の大きい雨は乱層雲である。
層雲が発生しているときは、大気の状態が穏やかであることを示しているといわれる。

積雲(せきうん)

和名:つみぐも
俗名例:錦雲、浮島雲、ひる雲、入道雲、太郎雲

積雲

「垂直に発達したはなればなれの厚い雲で、その上面はドームの形を して隆起しているが、底はほとんど水平である。この雲に光が射す場合 は明暗の対象が強い。積雲はちぎれた形の雲片になっていることがある」 (気象業務法施工令の定義)

積雲は主に水粒の集まりでできているが、雨粒や雪片などが含まれて いることがある。
積雲は上昇気流によって垂直方向に発達し、さまざまな高さの雲に成長する。平たい形で厚さが数十mや数百mという小型のものから、大きく発達して頭頂部がカリフラワーのような形になり、雲低から雲頂までの厚さが2000~5000m以上に達するものまでいろいろある。

積乱雲(せきらんうん)

和名:たちぐも
俗名例:入道雲、太郎雲、雷雲、朝顔雲、夕立雲

積乱雲

「垂直に著しく発達している塊状の雲で、その雲頂は山または塔の形を して立ち上がっている。少なくとも雲の頂の一部は輪郭がほつれるか または毛状の構造をしていて、普通平たくなっていることが多い。 この雲の底は非常に暗く、その下にちぎれた低い雲を伴い、普通雷電、 強いしゅう雨、しゅう雪、ひょうおよび突風を伴うことが多い」 (気象業務法施工令の定義)

積雲が発達してできた雲で、雲頂部は巻雲などができる領域にまで達している。発達を続けており、頭頂部がカリフラワー状のしっかりとした形を保っているうちは、その雲がいくら大きくても積雲だが、雲頂部が崩れはじめた瞬間から積雲は積乱雲に分類が変わる。

主に水粒の集まりからできているが、雨粒や雪片などが含まれていることがある。雷を伴った強い夕立を降らせる雲である。

雲のでき方

水蒸気を含んだ空気が冷やされて雲になる

空気中に水をどんどん蒸発させていくと、やがて限界に達してそれ以上は蒸発しなくなり、限界を超えた水分は再び水に戻る(凝結)。
空気に含まれる水蒸気量は気温が高いほど多いので、湿った空気が急に冷やされるだけで、そこに含まれる水蒸気は細かい水の粒に変化する。
この細かい水の粒が雲の正体である。

このように、水蒸気を含んだ空気が急に冷やされると雲ができる。
地上の空気は上昇気流、放射冷却、冷たい空気との接触などによって冷やされるが、このうちもっとも雲ができやすいのが上昇気流である。

気圧は高度が上がるほど低くなるので、空気は上昇すれば膨張する。
膨張に必要なエネルギーを空気の熱からとるので、空気は上昇するほど冷えていき、雲が発生しやすくなる。

断熱昇温・断熱冷却

ポンプで自転車のタイヤに空気を入れると、ポンプの筒が熱くなることがある。外部との熱の出入りを遮断して空気に圧力を加えて圧縮すると熱が発生し、逆に圧力を引いて膨張させると冷却する。

温度による飽和水蒸気量(圧)の変化

空気中に最大限含まれる水蒸気の量が飽和水蒸気量で、これを水蒸気の圧力に換算した値が 飽和水蒸気圧(hPa=ヘクトパスカル)という。

1立方メートルの空気が含むことのできる水蒸気は、温度が30度の場合で30.4g。この空気が0度まで冷やされると25.6gの水が発生する。
大気中では、冷やされて水になった細かい粒は浮遊したり落下したりする。その細かい水の粒が太陽を隠した状態が「曇り」で、水の粒がたくさん集まり水滴となって落ちてくれば「雨」になる。
水蒸気が凍って結晶となり、水や水蒸気をつけ、雪片として落ちてくるのが「雪」となる。

飛行機雲

飛行機のエンジンから排出される高温の排気ガスには、多量の水蒸気と微粒子物質が含まれている。飛行機が寒冷で多湿の空気の中を通過すると、エンジンから出る水分を含んだ排気ガスは冷やされる。同時に排出された微粒子物質が凝結核のはたらきをして雲が発生する。 これが飛行機雲である。

飛行機雲

また、大都市の上空では、都会の熱エネルギーとともに車の排気ガスや、工場の煙などで微粒子物質が大量に放出されているため、他では見られない不思議な雲が発生することもある。

天気の実体とは

天気と水の循環

天気は地球上の水の循環によって変化している。 生命豊かなこの地球の存在は、宇宙的に見ると奇跡であるといわれ、 この奇跡的な環境を支えているのが「水」という物質である。

人間のからだの約70パーセントは水で、そのうち5パーセントは 毎日の生命活動の中で入れ替わっている。また、クラゲのように、 ほとんど水分ばかりという生物もたくさんいる。

毎日の天気も、この「水」という物質が姿を変えながら、さまざまな 場所に出没することで変化しているといえる。雨や雪は水そのもの であるし、地表や海に落ちた水分が太陽に温められ、水蒸気となって 空中に昇っていき、雲となり、再び雨を降らせる。

地球上の14億5800万平方キロメートルもの水は、海へ山へ 地中へ、そして生命の体内に入り込みながら、地球の豊かな自然を かたち作っている。

天候を左右する大気の動き

地球の生命に欠かせないもう一つの絶対条件は空気である。 地球を取り巻く空気の層を「大気」と呼ぶが、これもまた、天気を 決める基本的な要素である。地表近くの風は天気に深く影響を与えて いるし、もっと上空の大気の動きは長期的な天候を左右すると考えられ ている。

地球を取り巻く大気の層は、地球の生命を守る大切な役割りも果たして いる。大気のおかげで地表は極端な温度差もなく、宇宙空間からやって くる流星などもほとんどが大気中で燃え尽きてしまう。大気中のオゾン 層は太陽光線の有害な紫外線をやわらげ、ちょうどよい強さで日光を 地表に届けてくれる。

大気は大きく5つの層に分けられる。

対流圏

地表から高度約10kmまでの層で、大気全体の80 パーセントがここにある。低気圧・高気圧が発生して空気が対流を 起こすので対流圏と呼ばれ、高度が高くなるほど気温は下がっていく。 1km上昇ごとに約6度ずつ下がる。

成層圏

高度約10kmから50kmまでの層。地表や海面の 影響を受けないので高度20kmくらいまでは気温はほぼ変わらないが、 そこから徐々に上昇し、約50kmの成層圏界面では0度くらいまで になる。このため、空気の対流はほとんどなく安定しており、 航空機も成層圏で安定飛行に入る。高度25kmを中心にオゾン層が あり、有害な紫外線を吸収している。

中間圏

高度約50kmから80kmまでの層。気温は高度と ともに再び下がり(1km上昇ごとに約4度ずつ下がる)、高度約 80kmではマイナス90度にも達する。乱気流が激しく、流れ星が 蛇行したりロケットの噴煙の形が乱れたりするのが観測されている。

熱圏

高度約80km以上。高度90kmを超えると急激に 温度が上昇し、600kmを超えると1500度までに達する。ただし 大気はほとんどなく真空に近い状態なので、触れたものが熱くなると いうことはない。北欧で見られるオーロラは、この層(高度100km 前後)に現れる。高度約600kmより上は外気圏、宇宙空間となる。

地上の水蒸気や雲などの水分は、対流圏の外に出ていくことはない。 つまり、地球の天気の変化は対流圏のなかだけの話で、成層圏から 上はいつも快晴である。

風の法則

空気は、移動することによって暖められたり冷やされたりする。 そこから雲が発生するなどして天気が変わる。「風」が吹かなければ 天気も変らない。

風が吹くのは空気の圧力に変化が起こるからである。ふくらませた 風船の口から手を放すと勢いよく空気が出てくるが、これは風船内 の高圧の空気が、外の低い空気圧のほうに移動して起こる風である。 つまり、風は高気圧から低気圧に向かって吹くというわけである。

気圧が変化する大きな一つの原因としては、空気が暖められたり 冷やされたりするためである。空気が地表近くで暖められると、 空気は密度が低くなって軽くなり、上昇していく。すると地上では 上昇した部分の空気が少なくなって気圧が下がり、そこに周囲から 風が吹き込んでくるわけである。これが低気圧である。

野外トレーニング

心肺機能(循環器系)のトレーニング

ランニング

心肺機能、耐寒・耐暑性の能力、抵抗力や免疫力といった、人間としての強さを養うのに、最も適しているのがランニングだ。

その日の体調によっては、途中でウォーキングを入れてもよい。最低でも30分間は踏破する。
自分の身体をチェックするようなつもりで走るとよい。

サイクリング

ランニングと目的は同じである。
ランニングよりは膝や足首への負担が少ない。

自転車は、高価なものでなくても一般的なものでよい。スピードの出ない自転車でもアップダウンのあるコースを走れば、それは心肺機能向上のための優れたトレーニングだ。

水泳(クロール)

普段使わない筋肉を鍛える。
水泳は、水の浮力、抵抗、水圧、水温などにより、陸上とは違った運動効果がある。

水中では、水の浮力により、足首や膝、腰にかかる負担が陸上に比べ軽減されるため、こういった箇所に障害または不安をもっている場合のトレーニングとして、水泳は最適である。

3000m級登山

厳しい自然環境が鍛えてくれる。
3000m級の山として3つだけ挙げておく。

富士山(ふじさん)3776m

静岡、山梨県境に位置する日本一高い山。
毎年7月1日~8月31日までが開山期間。

頂上を目指すルートには「富士宮口」「河口湖口」「須走口」「御殿場口」「吉田口」がある。

  • 富士宮口(ふじのみやぐち)
    • 「三島口」とも呼ばれる。富士登山最短ルートである
    • 登山道と下山道が同じルート
    • 富士宮口新五合目の標高:2400m
    • 歩行距離:10km(登り:5.0km、下り:5.0km)
    • 所要時間(休憩時間含まず):登り5時間、下り2時間30分
    • (所要時間にはかなりの個人差あり)
  • 河口湖口(かわぐちこぐち)
    • 最も登山者が多い人気ルート
    • 他の登山口よりも山小屋が多く賑わっている
    • 吉田口登山道と六合目(標高2390m)で合流
    • 須走口登山道と八合目で合流
    • 河口湖口五合目の標高:2305m
    • 歩行距離:15.1km(登り:7.5km、下り:7.6km)
    • 所要時間(休憩時間含まず):登り5時間30分、下り3時間
    • (所要時間にはかなりの個人差あり)
  • 須走口(すばしりぐち)
    • 登山口からしばらく樹林帯が続く
    • シーズン中のマイカー規制がない
    • 河口湖口、吉田口登山道と八合目で合流
    • 須走口新五合目の標高:2000m
    • 歩行距離:14.0km(登り:7.8km、下り:6.2km)
    • 所要時間(休憩時間含まず):登り5時間30分、下り3時間
    • (所要時間にはかなりの個人差あり)
  • 御殿場口(ごてんばぐち)
    • 途中に山小屋が少ない
    • 下山道の七合目から新五合目までは「大砂走り」がある
    • 御殿場口新五合目の標高 :1440m
    • 歩行距離:17.0km(登り:9.4km、下り:7.6km)
    • 所要時間(休憩時間含まず):登り7時間30分、下り3時間
    • (所要時間にはかなりの個人差あり)
  • 吉田口(よしだぐち)
    • 一合目の手前のふもとから徒歩で登る総徒歩ルート
    • 吉田口は富士吉田市の金鳥居、あるいは北口本宮富士浅間神社(標高860m)からスタートするが、馬返し(1450m)までは車で入って行ける
    • 河口湖口登山道と六合目で合流
    • 歩行距離と所用時間(健脚の人の場合):
    •  
    • 北口本宮富士浅間神社→馬返し:8.0km 2時間30分
    •  
    • 馬返し→六合目(標高差1000m):4.5km 2時間30分
    •  
    • 六合目→頂上:(標高差1270m):5.5km 4時間30分
    •  
    • (所要時間にはかなりの個人差あり)

御嶽山(おんたけさん)3067m

長野・岐阜県境にそびえる富士山型独立峰。

剣ヶ峰を主峰にして、摩利支天山、継子岳、継母岳などの峰が連なり、南北3.5kmにも及ぶ広大な山頂部を形成している。また、山頂部には5つの火山湖がある。

  • 開田口コース(長野県側・北)
    • 静かな山歩きができる。
  • 黒沢口コース(長野県側・中)
    • 7合目近くまで、御岳ロープウェイが利用できる。
  • 王滝口コース(長野県側・南)
    • 6合目まで車が入る。
  • 濁河口コース(岐阜県側)
    • あまり歩かれていない。

立山(たてやま)3015m

富山県、北アルプス北部にある立山は「富士山」「白山」とならび、日本三名山と称されている。
立山とは、雄山(3003m)、大汝山(3015m)、富士ノ折立(2999m)の三つのピークを持つ、台形の山の総称である。
また、浄土山(2831m)、雄山(3003m)、別山(2880m)の三山を「立山三山」と呼び、これらを含む広い山稜を「立山連峰」と呼んでいる。

立山に行くには、標高2450mの室堂まで乗り物で行って、標高差550mを日帰りで往復するのが一般的なコースとなっている。

プログラム例

1日目: 下半身・背筋・首

  • かがみ跳躍 ⁄ 20回×3セット
  • レッグランジ ⁄ 20回×3セット
  • 片ひざ曲げ ⁄ 20回×3セット
  • 上体反らし ⁄ 20回×3セット
  • レスラーブリッジ ⁄ 3セット

2日目: 上半身・腕・肩・腹筋・握力

  • 腕飛び拍手 ⁄ 10回×3セット
  • 片手腕飛び ⁄ 20回×3セット
  • 肘のばし ⁄ 10回×3セット
  • 逆立ち ⁄ 最高時間×3セット
  • 四点支持 ⁄ 3~7秒×10回
  • 壁押し ⁄ 3セット

3日目: 休み

4日目: 下半身・背筋・首

  • ヒンズースクワット ⁄ 500回以上
  • ツイスト ⁄ 3セット
  • レスラーブリッジ ⁄ 3セット

5日目: 上半身・腕・肩・腹筋・握力

  • レスラープッシュアップ ⁄ 20回×5セット
  • 逆立ち ⁄ 最高時間×3セット
  • 起き上がり ⁄ 20回×3セット
  • 壁押し ⁄ 3セット

6日目: 休み

7日目: 休み

有酸素系運動(ジョギング、ウォーキングなど)は毎日行なってもよい。

クーリングダウン

ストレッチング

トレーニングの後はクーリングダウン(整理体操)として10~15分、全身のストレッチを行なう。

トレーニング後に少し休憩時間をとって呼吸を整えてから行なう。

全身ストレッチング

ストレッチングは酷使した筋肉の疲労物質を取り除き、疲労回復を早めるのに有効である。
入浴後や就寝前にも再びストレッチングを行なうとさらに効果的である。

股割り

股関節と、脚の内側や裏側の柔軟性を保つためのストレッチング。

両脚を大きく開いて座り、上体を前に倒す。
踵をつけてつま先と膝は上を向くように脚を大きく開き、息を吐きながら上体を前へ倒す。膝は曲げない。

もう一つの方法として、両脚を大きく左右に開いて(つま先は前を向く)立ち、床に両手をつけて体重を支え、徐々に開脚し腰を落としながら伸ばしていく方法がある。

前者は脚の裏側を、後者は内側と股関節を伸ばす。
股関節や脚の内側、裏側の筋肉が柔らかくなると、最終的には脚を180度開いた状態で、床に胸がべったりつくまで曲げられるようになる。

股関節が強く柔軟だと、腰を入れやすい。
重心を腰にもってくると身体のコントロールがしやすい。
また、身体の不具合から生じる腰痛などのケガの予防にもなる。

筋トレメニュー2

上半身・腕・肩

腕飛び拍手 ⁄ 10~15回×3セット

  • 腕立て伏せの姿勢をとり、
  • 腕を曲げてから強く地面を突き放して飛び上がる。
  • 胸の前で1回拍手をして着地する。
  • この動作を連続して行なう。

ポイントは「着地で使われる(伸ばされる)筋肉を意識すること」

片手腕飛び ⁄ 20~30回×3セット

片手でやる腕立て伏せだが、左右交互に行なう。

  • 両脚を肩幅よりも広く開いて腕立て伏せの姿勢をとる。
  • 片腕で支え、支えていない腕は腰の後ろにまわす。
  • 腕を曲げてから強く地面を突き放して飛び上がる。
  • 腕を替えて着地する。これで1回を数える。
  • この動作を連続して行なう。

ポイントは「着地で使われる(伸ばされる)筋肉を意識すること」

肘のばし ⁄ 8~12回×3セット

  • 身体がくの字になるように腰の位置を高く保ち、両手を重ねて腕立て伏せの姿勢をとる。伸ばした両手は顔の下の位置にくる。
  • 腰を高く上げた、くの字の姿勢を保ったまま、腕を曲げ、肘を地面につける。
  • 腕を伸ばす。

ポイントは「ゆっくりと肘をつけていくこと」

レスラープッシュアップ ⁄ 20~30回×3~5セット

レスラーが好んで行なうトレーニング基本種目。

  1. 身体がくの字になるように腰の位置を高く保ち、両手は肩幅ほど開いて腕立て伏せの姿勢をとる。
    顔はおへそに向けるような感じでアゴを引いて肩を入れる。
  2. その姿勢から、前方へ振り子のように体重を移動させながら腕を曲げて、一気に地面の上を胸が這うような感じで腕を曲げ、
  3. その勢いのまま腰を落とすと同時に腕を伸ばす。腰は地面すれすれの状態で身体を反らして腕を伸ばした状態。顔は上を向く。
    (1とは逆のくの字になる)
  4. すばやく腰を上げ、1の姿勢にもどって動作を繰り返す。
  5. 1~4は一連の流れで行なう。腰を落とした姿勢で動作を止めない。
    (腰を振り子のように落としてから上げるまでは一気に行なう)

バリエーション:
通常は指先を前に向けてハの字に置くが、指先の向ける方向を180度外側へ回転して逆方向に向けて置き、脇を閉じてこのプッシュアップを行う。
腕の鍛える場所が違うため、通常の方法の後にこのバリエーションで行なうとよい。

ポイントは「前方に伏せる時に振り子を意識し、できるだけスピードをつける」「体重がかかる時の(伸ばされる)筋肉を意識すること」「腰の体重移動で動作を行なう」

逆立ち ⁄ 最高時間×3セット

いろいろバリエーションは多い。

  • 壁(補助)を利用して倒立する。
  • 片手で倒立する。
  • 倒立で腕立て伏せ。
  • 逆立ち歩き。

 

腹筋

起き上がり ⁄ 20~30回×3セット

  1. 足首を(何かに引っ掛けるなどして)固定して、膝は曲げて仰向けになる。(脚を伸ばして行なうと腰を痛めやすい)
    両手は頭の後ろで組むのが基本。
  2. 上体を起こして右肘が左膝につくまで前屈する。
  3. 1の姿勢にもどり左右交互に繰り返す。

ポイントは「反動を使わない」「伸ばすときも腹筋の緊張を解かない」

四点支持 ⁄ 3~7秒×10回

  • 両手両脚を伸ばしてうつ伏せに寝る。
  • 両手の手のひらを肩幅より広めに開いて前方の地面につけ、両脚も伸ばして同じく肩幅より広めに開いてつま先立ちとなる。
  • その4点で身体を支え、手足が伸びきった状態で身体を持ち上げ、数秒間(3~7秒間)維持する。

両手を手前に近づけていくほど軽くなる。

握力

壁押し ⁄ 3セット

壁を利用した握力アップのトレーニング。

  • 人差し指から小指までの4本を開いて、その先端を壁に押しつけるが、指先は上に向け腰の位置くらいの低い位置につける。
  • 指と手首が反るように押しつけて、指先で壁を下方向へ押すように体重をかける。
  • 指の先端方向へ押すのではなく、手首を反らせるように下へ体重をかける。
  • 一つひとつの指に負荷がかかるようにする。
  • 親指も単独で同様に行なう。

ポイントは「手首を反らせるように押す工夫をすること」

筋トレメニュー1

下半身

かがみ跳躍 ⁄ 20~40回×3セット

  • 左足を半歩前に踏み出してしゃがむ。両手は頭の後ろで組み、肘を後ろへ引いて背すじはしっかり伸ばして胸を張る。
  • 背中を丸めてはいけない。重心は両足の親指側に乗せる。脚が開かないように内側に引き付けて、重心が脚の小指側に逃げないようにする。
  • そのしゃがんだ姿勢から、前後に開いた両足に均等に体重をかけて、胸を張りながら上に強くジャンプする。
  • 空中では両脚ともつま先までピンと伸ばし、胸を張る。
  • 前後の脚を入れ替えて着地し、両足に均等に体重をかけ、踏ん張りながらしゃがむ。これで1回を数える。背中が曲がらないように注意して続けてジャンプを繰返す。

ポイントは「胸を開き、胸から上がる感じをつかむ」「蹴り上がる時よりも体重のかかった着地で使われる(伸ばされる)筋肉を意識すること」「背すじを伸ばし背筋の緊張を解かないこと」

レッグランジ ⁄ 20~40回×3セット

  • 両手を頭の後ろで組み、両足を揃えて立つ。
  • 胸を張り腰を落としながら、片脚をやや大またに前へ踏み出す。
  • 踏み出す間隔は前脚の踵と後ろ脚の膝のあいだに一足分開けたぐらいが基本。負荷を上げたければ踏み出す間隔を広げる。
  • 踏み出した前脚に全身の体重を乗せて着地させる。両脚とも重心が外に逃げないように踏ん張る。両脚とも重心を親指の上におく。胸を張る。
  • 踏み出した脚を元の位置に戻す。前脚を蹴るのではなく、後ろへ引き付けるようにする。後ろ脚で前脚を引っ張るようなイメージで重心を移動させる。これで1回。左右交互に繰り返し行なう。

ポイントは「前脚に全体重を乗せ、着地で使われる(伸ばされる)筋肉を意識すること」「胸を張ること」

片ひざ曲げ ⁄ 20~30回×3セット

レッグランジが立った姿勢で行なうのに対し、片ひざ曲げは両手を地面につけ、腕立て伏せの姿勢で両脚を入れ替える運動。

  • レッグランジで片脚を大きく前へ踏み出した状態で、両手を伸ばして地面に置く。両手の置く位置は前脚のつま先から一足分開けた前方に、肩幅ほど開いて置く。上体は起こし顔を上げる。さらに後ろ脚はピンと伸ばしたまま地面から浮かす。これが開始の状態。
  • この3点で身体を支えるわけだが、全体重は胸の下に位置する折り曲げた前脚におく。腕は姿勢を保つ補助であり、動作の支点となるため曲げてはいけない。また、後ろに伸ばした脚も前脚への負荷に影響するため、曲げてはいけない。
  • その姿勢を維持したまま、前脚で地面を蹴って身体を浮かせると同時に、後ろ脚をすばやく引き付け、脚を入れ替えて着地する。これで1回を数える。連続して繰り返す。脚を入れ替えるときは、前脚で後方を強く蹴るようなつもりで伸ばすこと。
  • 体重をしっかり前脚におくこと。上体を起こして腕で身体を支えないようにする。

ポイントは「上体を起こす」「後ろ脚をしっかり伸ばし浮かす」「前脚に全体重を乗せ、着地で使われる(伸ばされる)筋肉を意識すること」

バウンディング ⁄ 3~5セット

幅跳びである。

  • 両脚を腰幅ほど開いて立ち、両手を後方に振りながら前傾姿勢を作り、腕を振り上げながら両脚で踏み切り、前方へ大きくジャンプする。
  • 空中で次のステップのための姿勢をつくり、さらに数歩(三段跳びみたいに)、片脚づつ交互にジャンプする。

ヒンズースクワット (目安500回 ⁄ 20分)

理屈ぬきで長時間行なう。肉体が資本のレスラーや格闘家が日常的に取り入れているスタミナ系のトレーニング。

  • 両脚を肩幅に開いて立つ。
  • 両手をいったん後ろへ振り、(肘は自然に曲げておく)
  • 後ろへ振り切った両手を勢いよく振り降ろしながら、膝を曲げ一気に深く腰を落とす。(椅子にこしかけるように腰を後ろへ落とす)
  • 振り下ろした腕を額の前まで、そのままの勢いで振りかぶりながら、膝を伸ばしていく。
  • 立ち上がったら両手を後ろへ振り、動作を繰返す。

ポイントは「踵は上げない」「おしりがつくまでしゃがまない」「ももの前面と地面が水平のところまで膝を曲げる」「曲げる時に膝をなるべく前に倒さないようにして、腰を後ろへ落とす」「腕を振り下ろすときは勢いよく」

階段トレーニング(重量物背負)

ザックに重りをつめてビルの階段を昇り降りするトレーニング。
階段でなくても、近くに階段と同じくらいキツイこう配の山道があれば そこでもよい。

重りはペットボトルに水を入れたものや、土のうに砂を入れるなどして 作ってもよい。

超高層ビルの階段は普段出入りできないが、15階ほどの建物なら階段 を利用することができる。
時々一段抜かしを加えるなどして延々と階段を昇り降りするトレーニ ング。
その場で行なうトレーニング種目と違って、やりかけたらなかなか途中で 終われないため、持久力を鍛えやすい。

背筋

上体反らし ⁄ 20~30回×3セット

両脚を伸ばしてうつ伏せに横になり、両手は腰の後ろに添えるか、頭の 後ろで組むかして、上体を反らす背筋運動。

足首を固定して行なってもよい。

ツイスト ⁄ 3セット

長さ150cmほどのバーを用意する。
モップの柄みたいな木製のものでもよいし、金属製のバーでもよい。 直径3cmほどで握りやすく、丈夫で曲がったりしないものがよい。

それを肩の後ろに担いで身体をひねる運動を繰り返す。

  • 両脚を肩幅よりも広めに開き、バーを肩に担いで両手で支える。
  • 担ぐ位置は首の付け根ではなく、背中に近いほうに下げて、バーを乗せるというより腕で支えるようにする。(かかしのように上体を固定する)
  • 膝を少し曲げ、重心を落として両足で踏ん張り、身体の捻転に耐えうる構えを作る。
  • 顔は正面に向けたまま、腰を軸にして上体を左右に旋回する。
    遠心力をつけてスピードを上げる。ひねって戻す時に意識を集中する。
  • ひねりながら上体を前へと折り曲げていけば、背筋への負荷が高まる。

ポイントは「大きくひねってバーの遠心力を利用すること」「筋肉が伸ばされ回転を戻す時に意識を集中すること」

ツイストは、腹筋と背筋の両方に有効な、胴回り全体のトレーニングであるが、背筋への負荷を増やすには身体をくの字に前へ折り曲げていけばよい。

特に腹筋を鍛えるためにやるのであれば、ベンチに座ってツイストを行なう方法もある。

尚、周囲の安全を確認して行なうこと。

レスラーブリッジ ⁄ 3~4セット

名前のとおりレスラーのトレーニング基本種目。

このトレーニングは背中と脚の筋力を必要とする種目であるが、なにより首が強くなければできないので、ここでは首のトレーニングとして挙げる。

  • 両膝を立てて床に仰向けに寝て、腕は胸の前で組む。(頭で身体を支えるためバスタオルやクッションなどを頭の下に敷いておく)
  • 頭の後頭部で体重を支えて、両脚を踏ん張りながら、腰を高く持ち上げていく。
  • 床に着いた頭と両脚の距離を縮めて、大きく身体を反りながら、
    後頭部から頭頂部、額(おでこ)へと、頭を転がすように、脚を使って腰を持ち上げていく。(最大限までブリッジすると、額で体重を支える形となる)
  • 腰を浮かしたまま、膝の曲げ伸ばしで額と後頭部の間で頭を転がし、体重移動を繰り返す。

両手で支えれば首への負担が減る。
首を左右にひねるなどの応用もある。

続いて今度は床にうつ伏せの状態になって、頭の頭頂部を床につけ、両手は腰の後ろで組み、両脚のつま先と頭で支えて身体を浮かす。(逆ブリッジ)

頭を転がすように後頭部、頭頂部、額へと腰を浮かしたまま体重移動を繰り返して首全体の筋肉を鍛える。

これを「リバースレスラーブリッジ」といって、こちらは首をまんべんなく鍛えるのに最適の種目である。

膝をつくか、両手で支えれば首への負担が減る。
前後の動きだけでなく、首をひねって、体重を左右にかけて首の周囲全体 を伸ばしながら鍛える。

ウォーミングアップ

ウォーミングアップ・メニュー

運動を円滑に開始するためには、筋肉に血液を集めておく必要がある。
筋肉や腱などが硬く縮んでいたり、血液がよく回っていない状態でいきなり高負荷のトレーニングを始めると、身体が故障しかねない。

ウォーミングアップは次の手順で行なうとよい。

1.準備体操

準備体操の基本的なもの10種

膝屈伸 ⁄ 膝回し ⁄ 伸脚 ⁄ アキレス腱伸ばし ⁄ 腰回し ⁄ 前後屈 ⁄ 側屈 ⁄ 肩回し ⁄ 首回し ⁄ 手首足首回し

2.ウォーミングアップ

筋肉に血液をよく巡らせ、身体を暖めてやるために、心拍数を上げる必要がある。
次に挙げるウォーミングアップ運動の中から、どれかを選んで10~15分間行なう。身体が暖まった状態、汗ばむ程度でよい。

ジョギング

ウォーミングアップとして理想的。

4呼称腕立て
  1. 直立姿勢から始める。
  2. 膝をできるだけ伸ばしたまま両手を地面につける。
  3. 両脚をできるだけ伸ばしたまま後ろに伸ばし、腕立て伏せの姿勢をとる。
  4. 腕立て伏せの姿勢から両脚を手の近くに縮め、2の姿勢に戻る。
  5. 立ち上がる。

腕立て伏せの姿勢と直立した姿勢を交互に繰り返す運動。

突き前蹴りコンビネーション

両脚を左右に平行に肩幅ほど開く。つま先は両脚とも正面に向ける。
両手の拳を軽く握り、アゴの付近に置いて構える。
膝に弾力性をもって立ち、肩の力を抜き、脇も自然に締める。

  1. 左腰を前にひねり出しながら左の前蹴り。
    (膝から出し、足の裏で前方を押し出すように腰より高い位置を蹴る)
  2. 左の前蹴りをもとの位置に引きながら、左肩をひねり出すように左の拳を突き出す。
  3. 左の拳をもとの位置に引くと同時に、右腰を前にひねり出し右肩を出しながら右の拳を突き出す。
  4. 右の拳を引きながら、右腰を前にひねり出しながら右の前蹴り。
  5. 右の前蹴りをもとの位置に引きながら、右肩をひねり出すように右の拳を突き出す。
  6. 右の拳をもとの位置に引くと同時に、左腰を前にひねり出し左肩を出しながら左の拳を突き出す。左の拳を引きながら1へと続く。
  7. 左前蹴り~左右突き~右前蹴り~右左突き、の連続となる。
  8. 強く打ち込みながらも高速で繰り返す。

最大限にスピードを上げて行なうのがポイント。
3分間と時間を決めて数セット行なってもよい。

突き連打

左右の拳を細かく連続して突き出す運動。
両脚を左右に平行に肩幅ほど開く。つま先は両脚とも正面に向ける。
両手の拳を軽く握り、アゴの付近に置いて構える。
膝に弾力性をもって立ち、肩の力を抜き、脇も自然に締める。
至近距離を左右の拳で高速で連打する運動を繰り返す。

1秒間に5~6打ほどのペースで3分間を数セット行なう。

トレーニング中の呼吸はどうするか

呼吸は基本的に身体を縮める時に吐きながら動作をし、身体を伸ばす動作のときに吸い込むが、瞬発力を要する時や、連続した動作で呼吸がスムーズに行なえない場合は止めることもあるし、一気に吐くか、または長く吐き続けながら行なう動作もある。

いずれにしても、高いレベルで身体能力(精神面も同様)を発揮するためには、呼吸が乱れないよう常に意識しておく必要がある。呼吸はそのまま「物事のコツ」と訳されるほど、大切なことだ。

ウォーミングアップでは精神面のテンションも上げていく

トレーニングは、ただ形や外面を追うのではなく、人間の内面を開拓していくことが最も重要なテーマだ。
同じトレーニングをするにも、意識を集中しているかどうか、限界が来た時にもう1回やるかやらないかで身体面、精神面ともに後から大きな差となって表れる。

筋トレ基準回数

反復回数

筋力は筋肉の太さに比例する。(筋肉自体の伸縮力)

筋肉を発達させるには、8~12回の範囲内で限界が来る負荷を与えるのが通常のトレーニングである。ただし、トレーニング種目によっては負荷量と反復可能回数に誤差が出てくるので15回くらいまでは追い込むのもよい。

呼吸や心理的なつらさによる限界ではなく、あくまで筋肉の限界に追い込むことが重要である。

20回以上できる負荷の場合、筋力よりも筋持久力がつくとされる。ただし、筋持久力のためには20回でよいということではなく、どの程度の強度で、どれだけ負荷を与え続けるかはトレーニングする目的に応じて設定する必要がある。

また、6回以下しかできない負荷の場合は、筋肉の発達よりも最大筋力を高めるためのトレーニングとして行なわれる。

セット数

1種目につき3~4セット以上行なう。

筋肉を限界まで追い込めればセットを追うごとに回数が少なくなってもよい。

セットとセットのインターバルは40秒~1分以内とする。筋肉に集まった血液が逃げないうちに次のセットに入る。

1分のインターバルでは、1セット目に12回できたものが、2セット目には8回しかできないかもしれないがそれでよい。それが筋肉を追い込むということだからだ。

呼吸が相当苦しくなる種目の場合でも、上限は2分とするが効果的に行なうにはやはり1分以内が理想である。

トレーニング頻度

筋肉の疲労回復後(超回復後)にトレーニング前よりも少し体力水準が上がるため、そのタイミングを狙って行なうのが、成果を積み上げていくコツである。

トレーニングはストックできない。長く休めばまたもとにもどる。

超回復はトレーニング後48~72時間というのが基準だ。それ以下でもそれ以上でもない。このことを踏まえてトレーニングスケジュールを立てよう。

基本的な種目のみを選んで1日に全身をトレーニングするのであれば、1日置き、または2日休んで1日行なう。(週2~3回のペース)

鍛えたい部位を特に重点的にトレーニングするなら「分割法」を用いる。これは、日によって身体を上半身、下半身というふうに分割してトレーニングする方法である。

たとえば、

1日目: 下半身

2日目: 上半身、腕

3日目: 休み

というように、スケジュールを組む。週4日以上のペースだが、筋肉の疲労を回復させるのに2日間ある。また、一度に全身を鍛えるより、フレッシュな状態で分割された部位をトレーニングできるため効果を上げやすい。

筋トレ基本原則

筋トレの成果を最大限に上げるには?

自分の体重を利用するトレーニングでは、バーベルなどのウエイトを用いないため手を抜こうと思えばそれなりにできてしまう。しかし、正しいフォームや負荷のかけ方をマスターすれば、筋肉に体重の何倍もの負荷をかけ、「オーバーロード(過負荷)」を起こさせることができる。

オーバーロードにより疲労(筋肉は所々細かい断裂を起こしている)した筋肉は、もとの状態よりも強く、あるいは太く修復する。これを「超回復」という。(トレーニング前よりも一時的に体力水準が上がる)

負荷に対して適応しようとする性質のことだが、通常48~72時間で回復するとされる。尚、筋肉は負荷に慣れると強化することをやめ、使われなければ退化していく。

筋力をアップするには、筋肉の発達が必要であり、筋肉を発達させるにはオーバーロードを筋肉に起こし、超回復により適応していくにつれて負荷を増していく必要がある。

筋持久力をアップするには、筋肉が適応していくにつれて量を増やす。これは取組む種目の反復回数やセット数の、限界回数を上げていくことで発達する。

筋力アップのトレーニングと筋持久力のトレーニングはお互いに両立しない。

筋力アップのためには強い負荷を与えてやらなければならないが、負荷が強ければ強いほど筋肉が疲労するのも早く、回数ができなければ筋持久力は鍛えられない。

そのため、(コンディションのよい状態でレベルの高いトレーニングをしようと思えばなおさら)必然的に筋力アップか筋持久力アップのどちらかに特化したトレーニングとなる。

両立しない両者を鍛えるには、たとえば週の前半は筋力アップに重点を置いたトレーニングにし、後半は筋持久力アップに重点を置く、というように1週間のうちでも、日によって取組む課題を明確にしておくとよい。

1日のうちで重点を置くということは、特に鍛えたい部位や要素を最初にトレーニングするということである。精神的にも体力的にもフレッシュな状態で取組むため効果を上げやすい。

効果を上げるトレーニングの基本原則:

 1.オーバーロードをかける(心理的な壁を超える)

 2.十分に疲労を取り除く(オーバーワークはマイナスとなる)

 3.適応に応じて負荷を増やしていく(慣れれば成長はない)

 4.継続する(トレーニングはストックできない)

筋力トレーニング

筋力トレーニングの効果とは?

筋力トレーニングの効果は、全身の筋肉をしなやかで持久性に富む筋肉にするはもちろんのこと、心肺機能(循環器系)向上、身体のゆがみ矯正、ダイエットまたは体重増量、発汗による毒素排出、リハビリ、スポーツの技能向上などがあるが、トレーニングを通して備わっていくものは、身体面だけではない。

筋力トレーニングは、ストレスや精神疲労の解消、気力や自信の充実、さらに集中力・決断力・判断力・不屈の精神、闘志、冷静沈着など、あらゆる精神活動を刺激し、多くの精神要素を涵養する。 気力や体力の充実がもたらす、その効果を数え上げれば枚挙にいとまがないほどだ。

このサイトで推奨したいトレーニングは「自分の体重を利用した種目」である。

理由は簡単だ。手軽にできるためライフワークの一部として取り入れやすいからだ。

ほとんどの種目が家の中でできる。家の中では気兼ねしてできなければ、運動のできる服装に着替え、外へ行けばいくらでもトレーニングの場は見つかるだろう。また、強く体重のかかる種目については硬い地面の上で行なうのが理想である。

筋力トレーニングは、パワーやスピード、スタミナを向上させるとともに、運動神経を開発し「使える筋肉」として発達させることが重要である。

筋力トレーニングはただ回数をこなすだけでは効果は薄い。効果的に行なうには、鍛えている部位にしっかりと負荷を伝達し、筋肉を強く意識することが大切である。

正しいフォーム、筋肉への正しい負荷のかけ方、あるいは力の抜き方を身体で覚えると、日常での立居振舞も断然変わってくる。人間の身体は電気信号により筋肉が収縮され、動作し支えられているが、筋力トレーニングによりその回線が強化されるからである。

体力要素には何があるか?

筋肉は負荷を与えられると、それに対し素直に適応しようとする。どのような負荷を与えるかは、トレーニングの目的によって違ってくる。

一言で筋肉といっても、鍛える要素には2つある。

「筋力」と「筋持久力」の2つである。

パワーや瞬発力を発揮する「筋力」と、筋肉自体がもつ持久力の「筋持久力」とがある。

総合的な体力でいえば、さらに心肺機能(循環器系)、柔軟性、平衡性、敏しょう性などが挙げられる。

心肺機能(循環器系)のトレーニング法については「野外トレーニング」と題して別ページでピックアップした。

柔軟性については筋肉のストレッチを行なう必要があるが、筋トレで関節の可動範囲を広くとった種目は、それ自体が筋肉のストレッチ運動となり、柔軟性を高めることができる。筋肉が緊張したまま伸ばされるのでその効果は高い。

リラックスして行なうストレッチには様々な種目があるが、このサイトでは「股割り」というストレッチの方法だけピックアップする。その他のストレッチング法については、一般的に知られている方法で、酷使した筋肉をゆっくりと十分に伸ばし、トレーニング後の筋肉に老廃物が溜まらないようにしたい。

平衡性、敏しょう性については複雑な運動の中で求められる要素であるが、根本的には強い筋力に裏打ちされる要素だ。その上で筋肉の緊張と弛緩を自由にかつ素早くコントロールできる能力である。

ちなみに平衡性、敏しょう性を高めるには、バスケやサッカー、空手、ボクシングなどアクロバット的な技が要求されるスポーツに取組むとよい。




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