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フィードバックの技術

フィードバックの技術とは、相手の気づきを促すために有効な情報を、相手に効果的に伝える技術のことである。

コーチングでのフィードバックは、登山者と同行するガイドの関係のように、相手が目的・目標からルートを外れたときのネガティブ・フィードバックと、また、ルートを順調に進んでいるときのポジティブ・フィードバックの2種類に分けることができる。

フィードバックとは「評価」や「依頼」ではない。「事実」と「影響」の指摘である。

事実とは、『何についてフィードバックしているのか』
影響とは、『そのことが、周囲の人間や本人にどう影響しているのか』

ということである。

(1)ネガティブ・フィードバック

これは、相手が目的・目標からルートを外れたことを指摘するときに使う。

相手の言動に対してネガティブ・フィードバックをする場合、「あなたは〇〇な人だ」とか「そんなことをするな(言うな)」あるいは「ああしろこうしろ」と返すのは、相手への評価や依頼の類であり、それはフィードバックとはいわない。本人の目的・目標に対し、今何が起きているのか、何をしているのかを明確に、また、そのことが、周囲の人間や本人にどう影響しているのかという「事実と影響」を伝えるのがフィードバックである。

たとえば、相手が遅刻してきた場合で見てみると、

「時間にルーズだ」とか「5分前に来るべきだ」などの「評価」や「依頼」を伝えるのではなく、「何分間・何時間の超過時間」(事実)によって、そのことがどういう「影響」を及ぼしているかということを伝えるわけである。

「君が1時間遅れたことによって(事実)、グループ全員の出発が遅れたよ。今後、遅刻者は待たないとの意見が出ている(影響)」

「遅れてきて、ごめんの一言もなく自分の都合ばかり(事実)・・・聞いていて気分のいいものじゃないよ(影響)」

(2)ポジティブ・フィードバック

これは、相手が目的・目標のルートにうまく乗っているとき、途中の目標をクリアしたときのフィードバックである。ポジティブ・フィードバックは単に相手をほめることとは違う。やはり、

事実のフィードバック『何についてフィードバックしているのか』
影響のフィードバック『そのことが、周囲の人間や本人にどう影響しているのか』

であって、相手をこちらの判断基準で「評価」したり、こちらの望むことを「依頼」したりはしない。たとえば、

「あなたはすばらしいですよ」「君はよくやっているよ」「あなたならできる」とか、「上手ですよ」「気がきくね」「きれいだね」では、何についてフィードバックしているのかが具体的になっていないわけである。また、相手を評価する形をとってしまうと、相手が違えば「私を評価するあなたは何様?」との心理的抵抗が生じる場合もあり、それでは逆効果である。

さらに、「こうするともっといいよ」「それを忘れないで」「その調子を維持して」などは相手への依頼であって、ある意味では有効かも知れないが、本人の気づき(パラダイムを広げる)を得るためには効果的ではない。

たとえば、

「君は手帳を持ち歩いてよくメモをしているからね(事実)。君とは予定の調整がすぐにできるからホントにありがたいよ(影響)」

「よくそれに気がついたね、このままでは危なかったよ(事実)。ありがとう、多くの人が助かるよ(影響)」

「あなたが今日、事実を打ち明けられたことを見て(事実)、私は感動しました。感謝しています(影響)」

「君の運転はよく顔を向けて確認してるね(事実)。安心感があるよ(影響)」

というように、何について、それがどう影響しているのかを伝えるのがフィードバックである。




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