メンタルトレーニングとは?
メンタル強化は、精神統一にある。
精神統一とは、一つのことに心を集中することによって、心が統一され、安定した状態に入ることをいう。
心を集中するという行為が、長いあいだ中断されることなく専念して実行されるとき、精神は堅固な境地に到達する。
その結果、あらゆる苦悩の元の原因となる心のはたらきは、その役割を終えて消滅し、自由と静寂、不動心、超自然的能力を得る。
心のはたらきとは、執着、漫然、自我意識などのことである。
心によって自己を向上させるべきであり、自己を落とし低めてはならない。
心は使い方によっては敵にも味方にもなる。自ら心に打ち勝った者にとって、心は自己の友である。しかし、心に打ち勝たない者にとって、心は敵のように反抗する。
心に打ち勝ち、静寂に達した者は苦楽の中にあって完全に落ち着いている。
無気力、疑惑、軽率、愚闇、耽溺、怠惰、不安定などはすべて心の散乱であり、精神統一に対する障害である。
病気、苦悩、落胆、高慢、誤謬、緊張、手足の動揺、心拍数の上昇、呼吸の乱れ、精神の錯乱などは心の散乱に伴っておこる。
それを阻止するために、一つの対象に心を向けることの修練が繰り返しなされるべきである。
メンタルトレーニング6種
メンタルトレーニングは、戒律と断食と呼吸法と学習と精神統一と祈りの実践である。
戒律とは、普遍的・恒常的な規範を定め、深く心中に銘記して、それに従うこと。一度定めた心を変えないこと、あるいは信念をもつこと。戒律を守るという行為が不断の精神統一そのものであり、それが守られ、克服されたとき、心は安定状態に入り、自由である。
断食とは、数日間とか数週間とかの限られた期間内で食を断つことや、1日1食を守ることや、限られたものだけを飲食することなどをいう。断食に入るには前後の調整期間を必要とするなどの一定の方法があり、専門知識が必要である。
呼吸法とは、自身の呼吸を意識することからはじまる。呼吸の出入息を、(より長く、より微細に)調整することの反復練習によって、集中力の体得がある。
学習とは、伝承された崇高な書物から真理やあらゆるものごとの本質を学ぶこと、あるいは自分の目標や信念を(心にとめておきたいことを)紙などに書いて繰り返し読むことをいう。
精神統一とは、心を一定の場所に結びつけ、その場所において意識作用が一筋になることをいう。一定の場所とは、身心や外的な対象物である。精神統一により、知識や推測を超えた直観的な認識が得られることから、超自然的能力が生じ、それは心の不動の原因となる。
祈りとは、心と言葉と身体をもって、あらゆる行為を神にささげること、あるいは行為の結果に執着しないことをいう。
これらの行為そのものが精神統一であり、メンタル強化の手段となり、いかなる状況にいようと、ひとたび始めれば堅固な境地は目前にある。