夕方に天気を読む
夕焼けには空が焼ける場合と、雲が焼ける場合の2つがある。
高気圧に広く覆われて、全国的に晴天が続く場合に「空の夕焼け」がよく 見られる。また、太平洋側では冬の晴天が続くときに見られることが多い。
空が焼けるためには、西側の広い範囲に雲のない状態が必要となる。つま り西に悪天をもたらす雲がないので、「明日は晴れ」ということになる。 「西空焼ければ明日は晴れ」「夕焼けのあと空が青く澄めば晴れ」などの ことわざがこれにあたる。
雲が焼ける場合
(1)巻雲、巻層雲が焼ける場合は、太陽が沈むにつれて変化して いく色を見る。
黄色、オレンジ、赤、紫、銀鼠(銀色をおびたねずみ色)と変化するの は、晴天の昼間の積乱雲から生まれた巻雲の色の変化で、明日は晴れる。
黄色、オレンジ、赤、灰色、黒と変化するのは、低気圧や温暖前線が後ろ に控えている巻雲のそれだ。天気は下り坂だと考えられる。
(2)高積雲が焼ける場合は、日没時に全体がオレンジ色をしていた 雲が時間とともに赤みを増し、その後、急に灰色に変わって黒くなること が多い。天気のことわざの「夕焼けが消えるとき黒ければ雨」「夕焼けが黒 く変われば雨」などがこれにあたる。高積雲は雨の前後に現れるから、雨 上がりに出る場合を除いて高積雲が現れている場合は、雨になるのは15 時間後くらいなので、翌日は朝から雨ということになる。
(3)層積雲が焼ける場合は、雲の厚みがあるため夕焼けで雲全体が 赤く色づくことは少なく、輪郭部分だけのことが多い。層積雲は高い雲が ないときに夕焼け状態になる。先の悪天を知らせる高い雲がないため、 雨の前兆にはならない。陸上の上昇気流の衰えに伴って積雲が層積雲に 姿を変えたものが多い。
(4)積雲、積乱雲の場合は、その雲の下で局地的に雨が降る場合が 多い。雲自身の発達度合い、進行方向などで雨を知るのが一般的な方法 だ。台風接近の場合を除き、これらの夕焼けによって明日の天気を予知 することはできない。
台風が接近している場合は、積雲や積乱雲が数多く現れる。しかし、雲底 がお互いにくっついているため、地上から雲の形を見ることは難しい。 このときに夕焼けが起こると、西の空だけではなく全天がオレンジや真紅 に染まる。ことわざの「血の夕焼けは風雨」「夏の夕焼け、船つなげ」は 台風接近時の夕焼けを表している。夕焼けしているときからポツポツと 降りはじめていることもあるが、この場合は2~3時間後に雨が本格化 することが多い。
台風以外では、梅雨前線に南から暖かい湿った空気が入った場合も同様の 空模様となることがある。