太平洋側の大雪
めったに雪の降らない東京などの大都会では、たまに大雪(日本海側に 比べれば少ないが)が降ると都市機能はマヒに近い状態になる。 太平洋側の大雪は例年1~2度あるが、次のような条件のときに降り やすい。
第一の条件は、北の冷たい高気圧が日本付近にまで張り出すこと。これに よって日本の南岸沿いまで冷たい空気が流れてくる。
もう一つの条件は、東シナ海方面からやってくる発達した低気圧である。 北の冷たい高気圧から吹く北風と低気圧に向かって吹く暖かい南風が 太平洋側でぶつかって雪を降らせるわけである。
東海から関東、東北地方に大雪を降らせた低気圧が台風並の勢いで東海上 に去っていくと、そのあとは移動性高気圧が日本をおおう。太平洋側で 大雪が降った翌日がよく晴れるのはこのためで、そういう日は放射冷却で 冷え込み、前日の雪の日より寒くなったりする。路面凍結などで、大都市 では大雪の後遺症が幾日も続く。
放射冷却
この地球には、常に太陽からの熱エネルギーが蓄えられている。そのうち の一定量は宇宙空間に向かって放出されているが、太陽からのエネルギー の獲得と放出のバランスが地球の生命にとってちょうどよい環境を作って いる。
真冬の太平洋側では西高東低の気圧配置が長く続くため、冷たく乾燥した 雲一つない青空が広がる日が多い。そういう日は日中は暖かくても、夕方 になると冷え込んでくる。このような快晴で風もない夜は、日中にわずか ながら届いた暖かい太陽のエネルギーもどんどん宇宙空間に逃げていき、 明け方には厚い氷がはるほどまで冷え込む。これが放射冷却で、冬の太平 洋側では毎日のように起こっている。
曇っている場合は、雲が地表からの熱をはね返すために放射冷却は弱く なる。