メイストーム
5月は、長いあいだ日本列島に居座る低気圧や高気圧がないかわりに、 しばしば日本海や北日本の近海で台風並に発達した低気圧がやってくる。 また、高気圧におおわれて強い日差しがさしたかと思うと上空に大陸から の寒気がやってきて、強い上昇気流を起こして雹(ひょう)を降らせたり する。
5月に日本海や北日本方面で強く発達する温帯低気圧による荒天を、 「メイストーム(5月の嵐)」という。本来はヨーロッパで使われていた 言葉だが、同じ時期に日本でも強い低気圧による大荒れの天気があること から使われている。
この時期の低気圧は、発達すると同時に速度を増す場合も多く、移動速度 は通常の低気圧の2倍にも達する。低気圧から伸びる寒冷前線の移動速度 が速く、天気が急変するため、海や山での避難の遅れは遭難に結びつく。 空を見て気がつくことは、雲の移動速度が速いことと、雲の変化が速い ことの2点だ。
統計によれば、春山の遭難の原因の第一位はみぞれや吹雪、2位は転落、 3位は寒さと疲労となっている。いずれも天気の急変が原因となっている。