天気の実体とは
天気と水の循環
天気は地球上の水の循環によって変化している。 生命豊かなこの地球の存在は、宇宙的に見ると奇跡であるといわれ、 この奇跡的な環境を支えているのが「水」という物質である。
人間のからだの約70パーセントは水で、そのうち5パーセントは 毎日の生命活動の中で入れ替わっている。また、クラゲのように、 ほとんど水分ばかりという生物もたくさんいる。
毎日の天気も、この「水」という物質が姿を変えながら、さまざまな 場所に出没することで変化しているといえる。雨や雪は水そのもの であるし、地表や海に落ちた水分が太陽に温められ、水蒸気となって 空中に昇っていき、雲となり、再び雨を降らせる。
地球上の14億5800万平方キロメートルもの水は、海へ山へ 地中へ、そして生命の体内に入り込みながら、地球の豊かな自然を かたち作っている。
天候を左右する大気の動き
地球の生命に欠かせないもう一つの絶対条件は空気である。 地球を取り巻く空気の層を「大気」と呼ぶが、これもまた、天気を 決める基本的な要素である。地表近くの風は天気に深く影響を与えて いるし、もっと上空の大気の動きは長期的な天候を左右すると考えられ ている。
地球を取り巻く大気の層は、地球の生命を守る大切な役割りも果たして いる。大気のおかげで地表は極端な温度差もなく、宇宙空間からやって くる流星などもほとんどが大気中で燃え尽きてしまう。大気中のオゾン 層は太陽光線の有害な紫外線をやわらげ、ちょうどよい強さで日光を 地表に届けてくれる。
大気は大きく5つの層に分けられる。
対流圏
地表から高度約10kmまでの層で、大気全体の80 パーセントがここにある。低気圧・高気圧が発生して空気が対流を 起こすので対流圏と呼ばれ、高度が高くなるほど気温は下がっていく。 1km上昇ごとに約6度ずつ下がる。
成層圏
高度約10kmから50kmまでの層。地表や海面の 影響を受けないので高度20kmくらいまでは気温はほぼ変わらないが、 そこから徐々に上昇し、約50kmの成層圏界面では0度くらいまで になる。このため、空気の対流はほとんどなく安定しており、 航空機も成層圏で安定飛行に入る。高度25kmを中心にオゾン層が あり、有害な紫外線を吸収している。
中間圏
高度約50kmから80kmまでの層。気温は高度と ともに再び下がり(1km上昇ごとに約4度ずつ下がる)、高度約 80kmではマイナス90度にも達する。乱気流が激しく、流れ星が 蛇行したりロケットの噴煙の形が乱れたりするのが観測されている。
熱圏
高度約80km以上。高度90kmを超えると急激に 温度が上昇し、600kmを超えると1500度までに達する。ただし 大気はほとんどなく真空に近い状態なので、触れたものが熱くなると いうことはない。北欧で見られるオーロラは、この層(高度100km 前後)に現れる。高度約600kmより上は外気圏、宇宙空間となる。
地上の水蒸気や雲などの水分は、対流圏の外に出ていくことはない。 つまり、地球の天気の変化は対流圏のなかだけの話で、成層圏から 上はいつも快晴である。
風の法則
空気は、移動することによって暖められたり冷やされたりする。 そこから雲が発生するなどして天気が変わる。「風」が吹かなければ 天気も変らない。
風が吹くのは空気の圧力に変化が起こるからである。ふくらませた 風船の口から手を放すと勢いよく空気が出てくるが、これは風船内 の高圧の空気が、外の低い空気圧のほうに移動して起こる風である。 つまり、風は高気圧から低気圧に向かって吹くというわけである。
気圧が変化する大きな一つの原因としては、空気が暖められたり 冷やされたりするためである。空気が地表近くで暖められると、 空気は密度が低くなって軽くなり、上昇していく。すると地上では 上昇した部分の空気が少なくなって気圧が下がり、そこに周囲から 風が吹き込んでくるわけである。これが低気圧である。