レンジャー学生判定基準
レンジャー素養試験
レンジャー訓練に参加するには、まず素養試験を受験し、資格条件を突破した者でなければ参加できない。
毎年各部隊からレンジャーに志願する者がいる。
志願の理由は人それぞれ想いがあるだろう。
何を好んでキツイ訓練に行こうと思うのか、という声もある。
けがで原隊復帰する者、体力的精神的についていけなくて脱落する者も出てくる。中には一時精神に異常をきたす者が出るほどの訓練だ。
俺が参加した時は、素養試験受験者が三十何名いたが試験にパスしたのは二十名ほどだった。
そして最終的に全てのレンジャー訓練の課程を修了したのは16名である。
レンジャー教育の目的
RANGER教育は、選抜された隊員に対し主として挺進行動により困難な状況を克服して任務を完遂する能力及び精神力を付与することを目的とする。
当時のレンジャー学生判定基準
- 年齢
- 36歳以下
- 身体検査
- 背筋力:150kg以上のもの
- 脈拍:運動後の脈拍を測り、脈拍数が一定の基準以下のもの
- 血圧:最高血圧140以下~100以上、最低血圧89以下~60以上
- 心電図:正常なもの
- 握力:左右とも40kg以上のもの
- 視力:(1)裸眼視力0.6以上、又は裸眼視力0.2以上で矯正視力1.0以上のもの (2)夜間視力が正常で眼科疾患等のないもの
- 色覚:正常なもの
- 肺活量:3,200cc以上
- 尿検査:糖、たんぱくとも陰性なもの
- 体力検定
- 次の基準以上のもの
- 300m疾走(60m折返し):60秒以内
- 手榴弾投てき:30m以上
- 土のう運搬50m(50kg担いだ状態から):14秒以内
- 懸垂:最高回数
- 腕立て伏せ:最高回数
- 起き上がり(2分以内):最高回数
- かがみ跳躍:最高回数
- 2000m持久走(小銃執銃):9分30秒以内
- 体力検定の実施要領
- 全ての種目を1日で終了する
- 戦闘服上下、戦闘帽、弾帯、半長靴で実施する
- 上記基準で「最高回数」と書かれた種目がある。実際には判定基準があるがレンジャーの資格検査は自己の持てる全ての力を出しきることを基本とするので、あえて記載しない。
- 水泳技能
- 水泳検定基準2級以上
- 泳法自由:100m以上
- 潜水:10m以上
- 立泳ぎ:1分以上
- 水泳技能に応じた自己安全法及び溺者救助法を修得しているもの
- 小火器射撃技能
- 小銃射撃検定基準3級以上(第1又は第2検定)
- 以上
判定では身体検査で通らない者、体力検定で通らない者など個人差はあるだろう。
だが小銃を持って走る2000m持久走が最大の関門だろう。
一連の流れで体力検定の種目に挑んだあと、最後にこれが待っている。
あとキツイ種目ということで印象に残っているのは「立泳ぎ」だ。
深い場所で行なうのなら何てことないのだが、理不尽にも足のつく浅い場所で行なわれる。顔と立てた両手の親指だけ水面から出した姿勢で、足がつかないように沈まないように高速で足を動かす。これはキツイ。
上記のレンジャー学生判定基準は俺の参加した当時のものなので現在はどうなっているかは知らない。また、各連隊のレンジャー訓練隊によっても統一された基本は同じでも詳細の部分での違いはある。